東大、京大、阪大、九大、東北大、北海道大、名古屋大の旧七帝国大学のうち、問題傾向の異なる東大、京大以外の五校と一橋大、筑波大、神戸大などの難関校もしくは、国立大医学部を目指す新高校3年生の年間受験計画の立て方についてお話しします。
(東大と京大については、問題傾向や共通テストと個別(2次)試験の配点比率などが異なるため別稿にして説明したいと思います)
①ステップ1・・・今年の共通テスト問題を解く
まずは現在の実力判定のため、今年の共通テストの全受験科目を時間を計って本番のつもりで解きます。その結果によって以下の通り計画を立てましょう。
(i)総合点が6割に満たない場合
「仮定法、分詞構文、準動詞の完了形」「正弦定理や余弦定理、2次関数の係数決定〔最大値・最小値〕」「2項対比、言いかえ表現、ディスコースマーカー」など基本文法や公式、英語や現代文などの長文を読む際の基本などにかなり「穴」があると考えられます。また、今までに解いてきた問題の絶対量不足も考えられます。「基礎英文問題精講」や「黄チャート」「即戦ゼミ 大学入試 国語頻出問題総合演習」「地理B 標準問題精講」などの標準問題精講シリーズで触れる問題の絶対量を増やしながら問題対応の経験値を上げると同時に、文法や公式の「穴」埋め、修正、補充を行います。夏までの共通テスト模試で7割5分以上を目指します。7割5分に満たない場合は、志望校の再検討も必要かもしれません。
(ii)総合点が6割以上~7割未満の場合
志望大学の過去問にシフトしたい気持ちをぐっと抑えて、まずは共通テストでの得点率を8割以上にする必要があります。ある程度、基礎、基本は充実していると考えられます。
「英語長文問題精講」「青チャート」などを仕上げながら「共通テスト」や「センター試験」の過去問を10年分以上解きましょう。共通テストはまだ過去問が少ないのと問題の基本ベースはセンター試験も同じなので、過去のセンター試験の問題も有効活用できます。夏の共通テスト模試までに8割~8割5分の得点が目標です。
(iii)総合点が7割以上~8割未満の場合
難関国公立大受験者の平均に位置していると考えて良いでしょう。夏までは、共通テスト対策と2次試験対策を50:50で取り組んでまいりましょう。共通テスト対策は、共通テストセンター試験の過去問題を直近10年以上解き、弱点の補強と同時に強みを更にブラッシュアップします。
夏までの共通テスト模試で8割5分以上を目指します。2次試験対策は、志望校の過去問を2年分解き、問題の傾向把握とその時点でのおよその得点率の確認、及び弱点の発見とその対策を練ります。例えば、英語であれば長文読解、和訳、英作、文法問題などの観点から数学であれば確率、平面図形、数と式、データの分析などの観点から、国語であれば現代文、古文、漢文、和歌、語彙などの観点から、弱点の補強中心に取り組みます。
(iv)総合点が8割以上の場合
既に過去問などの相当量を解いていることと思います。共通テストの仕上げ段階です。9割以上を目指しますが、かけた時間や問題量の割にそれ程点数は伸びずコストパフォーマンスは極端に落ちるので深入りしないよう注意が必要です。共通テスト対策と2次対策を20:80で取り組んでまいりましょう。共通テスト対策はセンター試験も含め過去問による失点問題の洗い出しと修正が中心です。2次対策は、志望校の過去問だけでなく、問題の傾向や難易度も同程度で良問の揃っている他大学の過去問も解きましょう。例えば九大志望であれば、東北大や北海道大、名古屋大の問題などです。
②ステップ2・・・夏休み以降の取り組み
①で(i)の方は(ii)へ、(ii)の方は(iii)へ、(iii)の方は(iv)へ移行するイメージです。遅くとも10月位までに(iv)レベルまでに持っていきたいところです。
(iv)レベルの方は、11月までは、2次対策中心に取り組みます。旧帝大のうち、前出の5帝大の過去問をできるだけ多く解きながら、得意科目を圧倒的な強みにブラッシュアップしていきます。ほぼ苦手な部分はないと思いますが、弱点を発見したら徹底して修正、補充してまいりましょう。
阪大や一橋大はやや難度が高い気がしますが、ベースとなる部分は5帝大と変わらないので、考え方は同じで良いでしょう。ただ、できるだけ阪大や一橋大の過去問に多く触れたいところです。
③ステップ3・・・直前期の取り組み
共通テスト直前期の11月以降は共通テストの最終調整に100%取り組んで下さい。2次試験モードになっている心身(頭)とも、再度、共通テストの型に全集中です。共通テスト終了次第、再度2次試験モードの型に全集中です。
共通テストの結果次第では、不可能と思える苦しい決断をしなければならない向きもあるかもしれませんが、合否の分かれ目が0.5点差などということもよくあります。0.5点上乗せできるかどうかは、「自分を信じる力の強さ」のような気もしますし、実際その「気持ち」で逆転を果たしてきた先輩方を多く目にしてきました。
この1年間、おそらく人生史上最大のアドレナリン大放出で、ご自身の限界に挑戦されることと思います。その環境にいることのできる幸せに感謝し、親をはじめバックアップしてくださっている方々の思いに触れるなら、きっと苦しみや厳しさも「楽しむ」ことができ最高のパフォーマンスを実現できるでしょう。