生徒の皆さんが、英文法で共通して苦労されている主要分野について、日ごろ授業で話をさせていただいている「効率的な理解や習得法」について、いくつか具体的に紹介させていただきたいと思います。覚えることの多い英文法を習得するうえでヒントとなるものがあればいいなと思います。
①時制(動詞の型)は筆算で理解する。(添付画像①参照)
現在完了、過去完了、進行形、受動態など英語は「動詞の型」が重要な意味を持ちますが、それらが複合的に組み合わされる場合は、添付画像①のように「横にずらした筆算」で理解するとわかりやすいです。ずらさずに加算したり逆方向にずらして加算しようとしても不可能なことがお分かりいただけると思います。①にあげている以外の未来完了進行形なども同様です。
②比較4点セット。(添付画像②参照)
比較級の原則は直訳して考えるということですが、紛らわしい次の4点セットは、
(i)noやnotとそれ以降の部分で大きく分ける。
(ii)noはnotよりも否定の意味が強い。
以上2点で論理的にスッキリと理解することができます。
例えば、no more than~は、more than~「~より多い」をnoで完全に否定しますので、
more thanの真逆のonlyと同意です。not more than~はmore than~「~より多い」をno程強く否定しないため「moreの色合い」を少し残すためat mostと同意です。
no less thanとnot less thanも全く同様で、一度理解してしまえば、この4点セットは「おいしい」得点源の1つとなります。
③完了形不定詞の具体的4態(添付画像③参照)
細かく分けると4パターンありますが、本質は2パターンです。動詞のseemと不定詞の次の動詞のunderstandの「時」が一致していれば「to+原形」、「時」がずれていてunderstandがseemより「前の時」であれば「to+have+過去分詞(完了不定詞)」となります。Seemが現在形でも過去形でもそれ自体は関係ありません。「seemとunderstandの時の関係のみ」がポイントです。
④準動詞の共通点
不定詞と動名詞と現在分詞・過去分詞は、もともと動詞であったものが、名詞や形容詞や副詞としての働きを併せ持ったもので、まとめて準動詞と呼ばれグループ化されています。一つのグループに属しているため論理構造が同じです。したがって、「否定語の位置」や「意味上の主語の位置」や「完了形」の考え方が全て同じです。
(i)否定語の位置
To不定詞や動名詞や分詞の直前に置きます。
(ii)意味上の主語の位置
不定詞であればfor(of)人+to不定詞、動名詞であれば所有格(目的格)や名詞を動名詞の直前に置きます。分詞の意味上の主語も分詞の直前に置きます。
(iii)完了形
完了形の不定詞が「to+have+過去分詞」、完了形の動名詞が「having+過去分詞」、完了形の分詞も「having+過去分詞」です。
⑤分詞構文の考え方
分詞構文の考え方のポイントは、「省略」と「文脈」です。
例えば、If you turn right after the bank, you will see our house on the left. という文で考えてみましょう。
「左から順番に省略しても意味が分かるものが省略されていきます」ので、次の手順の考え方となります。
①接続詞ifは文脈からわかるので省略
②主語youは後の主節で明示されるので省略
③動詞がturningに変化(そもそもそのままだと命令文になってしまいます。省略されたら意味不明。時制によっては、完了形分詞構文に変化)
以上で終わりです。接続詞は「時」「原因、理由」「付帯状況」「動作の連続」「条件」などですが、文脈で判断できます。
追記
「えっ?読めてる!!…夏休みの英語学習法」の添付2題の例文に挑戦していただいた方のために、和訳例を以下の通りにお知らせいたします。
①もし世の中でよい市民になろうとするならば、習得しなければならないことは、きっと隣人の多くが好きではなく、そのある人たちはとても違っているので同じ家に住むことがとうていできないけれども、そのことは、その人たちを傷つけたり、個人的に失礼な態度をとる少しの権利も与えはしない。ということである。
②あなたの人生は、人生があなたにもたらすものによってというよりも、むしろ、あなたが人生にもたらす態度によって、また、あなたに起こることによってというよりもむしろ、起こることに対するあなたの考え方によって決定される。