受験生の学習リズム―睡眠で大切な3つのポイント | プロ家庭教師のディック学園プロ家庭教師のディック学園

 今回は受験生の学習リズム形成の中でも重要な睡眠について、科学的な観点から大切なことに迫ってみます。

 まず、科学的にみて理想的な睡眠時間とはどのくらいなのでしょうか。
アメリカの国立睡眠財団の発表では、中高生の推奨睡眠時間は8~10時間とされています。これに対し、日本の中高生の平日の平均時間は約7時間で、4割程度は6時間未満といわれています。世界的に見ても日本は睡眠不足大国であり、ヨーロッパの中高生は日本の中高生よりも1~2時間長く眠っているという研究データも存在しています。

しかし、受験生にとってなかなか毎日9時間、10時間の睡眠時間を確保するのは現実的には難しいかと思われます。これらを踏まえて効果的な睡眠について、私の考える大切なポイントを3つご紹介いたします。

・睡眠時間
・睡眠の質
・睡眠リズム

 

①睡眠時間……理想は8時間を継続、最低でも6時間半

 午後10~11時→翌日の午前6~7時までの8時間眠ることが理想です。
これは浅い眠りから深い眠りに移行する1サイクルが約90分とされており、90分×5セットに加えて眠りに落ちるまでと眠りから覚めるまでの時間をそれぞれ15分と考え、それらを合計した時間です。

 起床してから約14時間後に脳内でメラトニンと呼ばれる物質が分泌され、そこから2時間経過すると非常に眠りやすくなります。
例えば午前6時に起床した人であれば、午後10時ごろに眠くなりやすくなります。心身に大きな負担をかけず、勉強時間も確保するという意味で、受験生にとっては効率的かつ現実的な睡眠プランです。
 
 どうしても難しい場合、そこから1時間半削って最低でも6時間半の睡眠時間を確保することが必要です。7時間睡眠が毎日続くような状態はグレーゾーン、6時間未満では明らかに足りません

 6~7時間の睡眠で問題ないと思っている場合は、眠いこと自体に気付いていないこともあります。
特に、眠気に弱いとされる脳の前頭前野の機能の一つが、自分の状態を評価するモニタリング機能です。
これが低下すると、実は自分が眠い状態で、実際にはミスが増えて解答スピードが落ちていても気付かず、「眠くないし、順調だ」と勘違いしてしまいます。
テスト本番で「ケアレスミスが多い」などの状態が続く場合、現在の睡眠時間をまず見直してみることが必要です。


 睡眠の質の上げ方

 時間の確保に加え、睡眠の質を上げることも重要です。

 夜勉強するときは、部屋全体が明るすぎないように、間接照明などの柔らかな明かりの空間で手元だけ明るくなるようにするとよいです。また、寝る直前のスマホ操作は、強い光で体が目覚めて眠りが浅くなるため、意識して控えましょう。

 快適な温度・湿度を保つことや静かな環境にすることも大切です。眠っている間にも聴覚が動いているため、テレビや音楽のつけっぱなしを避けましょう。
食事の面では、コーヒーやエナジードリンクなどにも注意が必要です。カフェインの覚醒作用は4~5時間続くため、夕方以降はとらないように心がけましょう。

 睡眠には、夢を見たりする浅いレム睡眠と、深い睡眠であるノンレム睡眠の2種類がありますが、良質なノンレム睡眠の時間を確保することが脳の働きに非常に重要です。
良質なノンレム睡眠により、成長ホルモンの分泌による免疫力向上や、脳の余計なものを洗い流してリフレッシュする効果が期待できます。

 ただ、「質の良い睡眠なら短時間でもよい」という説には注意が必要です。睡眠の質の意味や定義は研究目的によっても異なり、非常にあいまいな部分でもあります。
時間的に明らかに不足していれば日中の活動の質は上がらないため、「理想は8時間を継続、最低でも6時間半」を守ることが大切です

 

③ 睡眠リズムの作り方

 睡眠は自分で意識してサイクルを決めないとどんどんリズムがずれてしまいます。特に週末の朝寝坊による時差ぼけは解消するまで2~3日かかり、生体リズムが狂ってしまいます。
平日に比べて週末の睡眠時間が2時間以上長いのは睡眠不足のサイン、いわゆる「睡眠負債」がたまっている状態です。そのときは1週間今より1時間~1時間半長く寝て、昼間の頭の働きを確認するとよいです。

 また、眠気が弱いはずの午前中の授業で居眠りをしてしまう、昼間に強い眠気を感じてしまうことも身体からのサインです。昼寝もリズムを乱す原因になり得ます。
15分程度なら眠気を飛ばすのに有効ですが、まずは昼間眠くならないように十分夜に良質な睡眠をとるのがベストです。

起床後のルーティーンとして、まず朝起きたら日の光を浴びると良いです。体内時計の中核である脳の視交叉上核が目から入ってくる光に反応して、体を目覚めさせることができます。また、日の光を十分に浴びることでメラトニンが分泌されやすくなり、自然で良質な睡眠に導いてくれます。

日々の朝食時間を固定することも、体の1日のスイッチを入れる効果が期待できます。
休日も起床や食事の時間を平日と同じ時刻に固定できると、長期スパンで体調を管理できます。




 以上、3つのポイントから睡眠とそれに合わせたリズムの形成についてお話して参りました。
特に受験生は受験期が近くなると、焦りから睡眠時間を削っての学習時間の確保→リズムの乱れや体調不良などにつながるケースがよくあります。

 記憶は睡眠時に定着するとよく言われ、夜の勉強が効率的だと思いがちですが、高い効果は期待できません。定着すると報告されている記憶の多くは例えば自転車の乗り方のような手続き記憶と呼ばれるもので、受験勉強の暗記もののような意味記憶とは別物です。
意味記憶が睡眠時に定着するという研究データもありますが、定着率が倍増するなど、起きている状態に比べて劇的に変化するわけではありません。

 寝る前に勉強して夜更かしするより、規則正しい睡眠のリズムを習慣づけるほうが日中のパフォーマンスは上がり、より高い学習効率が期待できます。




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