2024年度の医学部受験要綱も出揃いました。そして、「2024年用の医学部入試カレンダー&変更点一覧」も完成しました。必要な方は最後までお読みください。
それでは前回に引き続き、おそらくどこよりも早い!? 2024年度の残りの医学部入試最新情報をお伝えします。
大学HPにも掲載されていない情報もありますので、要チェックです!
今回もまずは、国公立大学医学部から、
・山形大学医学部では、
前回、一般選抜前期2次試験において国語の試験をやめることはお伝えしていましたが、代わりに英語の配点が100点 → 200点へと上がることが判明しましたので、お知らせいたします。
・東北大学医学部では、
一般選抜2次試験において、第1段階選抜の足きりを共通テストの成績に基づき、約3.5倍から行います。
これまでは3倍から足きりを行っていましたので、少々緩和されることになります。
・金沢大学医学部では、
一般選抜の募集定員を 84名 → 82名 へと減らす一方で、総合型選抜(KUGS特別入試)を新規に実施し、2名募集します。このKUGS特別入試は、石川県、富山県、福井県内の高校出身者が対象なので、ここでは割愛しますが、気になる方は大学の募集要項をチェックして見て下さい。
・山梨大学医学部では、大きな動きがあります
まず、これまで英語重視だった共通テストの配点をフラットにし、共通テストどおりの900満点とします。
一方で、一般選抜2次試験において英語(90分、600点)を新規に実施します。そして数学は600点満点のまま試験時間を120分 → 90分へ、理科(2科目)は配点を600点→1000点へ、試験時間は120分 → 150分へと拡大します。
さらに、集団面接にグループディスカッションを取り入れ、配点も100点設けます。
結果として、共通テスト900点、2次試験2300点の合計3200点満点で合否を判定します。
英語は記述重視型へと代わるうえ、理科の比重が大きくなるのでこれは結構大きな変更点と言えます。
・岐阜大学医学部では、
一般選抜2次試験において、共通テストの成績に基づき第1段階選抜を、これまでの出願倍率9倍からだったのを、今後は3倍から行います。一気に足きり基準が厳しくなりますね。前年から後期試験も廃止しましたし、岐阜大学医学部は、もう以前のように多くの受験生が志願する大学ではなくなった印象ですね・・・
・高知大学医学部では、
国際バカロレア入試を新規に実施し、若干名を募集します。書類審査150点+面接150点で合否を判定します。
・熊本大学医学部では、
学校推薦型選抜Ⅱ(一般枠、みらい医療枠)において、共通テストと面接に加え、小論文を新たに課します。
また、学校推薦型選抜Ⅱのみらい医療枠において、熊本県外の高校からの推薦人数を最大3名 → 4名までします。
こちらは熊本出身ながら、他県の高校に進学した生徒が多い進学校(久留米、ラサール、青雲?)あたりしか関係なさそうですね。
・鹿児島大学医学部では、
一般選抜後期試験において、2段階選抜実施を出願倍率8倍から → 10倍からへと緩和します。
また、学校推薦型選抜において、通信制高校(通学コース※の学生は除く)でも、キャンパスの所在が鹿児島県内にあり鹿児島県内に在住のうえ、令和6年3月卒業見込みの者、又は卒業した者には受験資格を与えます。
さらに国際バカロレア選抜においては、これまでの書類審査200点+面接(段階評価)から、IB最終試験6科目の成績評価証明書200点+提出書類100点+面接160点の計460点満点へと変更します。
続いて、私立医学部について、
・日本医科大学医学部では、
後期の「共通テスト(国語)併用試験」を「グローバル特別選抜」に改め、受験資格は英語資格・検定試験で上級スコア(実用英検準1級合格やGTECスコア1100など)保持者に制限します。また、日程が前期試験日に移行されます。(グローバル特別選抜と一般選抜前期は併願可能)
特待生については、前期35名は変わらずで、後期は5名 → 3名へと減らしますが、グローバル特別選抜での上位10名は学費5,000,000円が免除されます。
以上に伴い募集定員は一般前期が86名 → 76名へ、一般後期は23名 → 33名へと変更になります。
そしてもう一つ、前期1次試験会場に福岡会場を新設します!
ついに日本医科大学の1次試験が九州で受けられるようになりますね!
これで御三家の一角を担う日本医科大学の志願者数がどの程度増えるかが注目されます。
・日本大学医学部では、一般選抜N方式のI期およびII期の2次試験において、面接の配点が60点 → 30点へと半分に下がります。
日本大学医学部は学科試験が520点満点ありますので、今回の配点変更で面接での逆転劇は起きにくくなりなります。先ずは学科試験でしっかり点数を稼ぐ事が重視されますね。
・東京女子医科大学医学部では、
学校推薦型選抜の「指定校推薦」(募集定員10名)を廃止します。ただし、「一般推薦」と「『至誠と愛』推薦」は継続し、「指定校推薦」の定員分はこれらの「一般推薦」と「『至誠と愛』推薦」に充当します。
・東京慈恵会医科大学医学部では、
入試内容の変更点ではないですが、一般選抜実施日と試験会場が大きく変わります。1次試験日が2月18日(日)と例年より遅くなり、試験会場は東京流通センターに変えます。
ついでに、東京慈恵会医科大学医学部だけでなく昭和大学もそうですが、2024年度から試験会場が変更になっている大学が多い背景について触れておきます。首都圏在住の方は御存じだと思いますが、これまで私立医学部1次試験の聖地(メッカ)と言われてきた品川区の五反田TOC(東京卸売センター)が超高層ビルに建て替えるため、今年から工事に入っています。完成まで4年ほどかかる見込みとの事で、当面は私立医学部も1次試験会場が分散することになります。既に入試要項を発表している私立医学部でも、2024年入試からは受験会場が変更されていることに気付いていた方も多いのではないでしょうか。
今後数年このような状況になる訳ですが、ちょっとここで受験生への影響を考えてみましょう。
東京都内在住の方は土地勘があるので会場を変更されてもそこまで困らないかもしれません。しかし、土地勘のない地方からの遠征受験生の場合、都内に来てからも受験会場を移動する負担が生じることを考慮する必要がでてきます。
これまでは併願校が多くても、付近のホテルから連日五反田TOCに受けに通えば良かったわけですが、来年からは都内であっても日ごとに受験会場が変わるとなると、移動のストレスや道のりのチェックや下見など、余計な負担が増えます。
よって、九州在住の方なら東京まで行かずに福岡会場で受けられるところだけに減らすとか、関西の受験生なら東京まで出ていかず大阪会場で受けられるところに絞るなど、多少の東京遠征控えが生じるかもしれません。
いずれにせよ今後数年間、特に地方在住で首都圏の私立医学部を複数校受験する方は、受験会場も考慮して受験校を決める必要が出てくるのではないでしょうか。
本題に戻りますね。
・聖マリアンナ医科大学医学部では、
学校推薦型選抜(一般公募制)において、自然科学総合問題をやめて基礎学力試験(数学ⅠAⅡB+理科2科目選択)に変更します。これまで、聖マリアンナ医科大学の学校推薦型選抜の自然科学総合問題では、数学・物理・化学・生物が混ざった問題が出題されていましたので、理系の総合力に自信がない受験生からは避けられる傾向があったと思います。しかし、基礎学力試験に変更し、出題範囲が明確になりました。
もう少し詳しく科目ごとの出題範囲を挙げると、数学はIAⅡB(数列・ベクトル)までで、B「統計的な推測」や数学Ⅲは出ません。物理は「原子分野」が出ません。化学は「有機と高分子」が出ません。生物は「生態と環境、進化と系統」が出ません。試験が行われる時期を考慮すれば妥当かもしれませんが、これで一般選抜の前哨戦のような意味合いで受験しやすくなるのではないでしょうか。
また、推薦の出願要件についても、全体の評定値を4.0 → 3.8に引き下げます。(ただし、英数理は4.0のまま変わりません。)全体の評定値のハードルが下がりますので、出願要件を満たす受験生は増えるのではないでしょうか。
以上の2つの変更により、学校推薦型選抜の受験者数は増加すると予想出来ますね。
ついでに言うと、受験会場も変更になっています。上の話題でも触れましたが、聖マリアンナ医科大学も2023年入試までは五反田TOCで受けられました。しかし2024年度入試は、前期・後期とも神奈川県(1次試験会場はパシフィコ横浜ノース)のみとなります。神奈川県在住の方は良いかもしれませんが、地方遠征者にとってはやや受け辛くなりそうです。それでも受験者数が減れば、頑張って受けに行った人の合格率は逆に少し上がりそうな気もしますし、こういった都内での1次試験会場から撤退した大学への受験生の動向が気になるところです。
・藤田医科大学医学部では、
前回のブログで、藤田みらい入試(総合型選抜)の「独創一理枠」について紹介しましたが、数学の出題範囲から数学Ⅲが除外されることが追加で発表されました。現役生に配慮したということでしょうか。
・近畿大学医学部では、
前期試験の数学の問題を他学部との共通問題へと変更します。学校推薦型選抜でも昨年から共通問題に替わっていましたが、ついに前期試験の数学もこれに続くことになりました。医学部独自の問題でなくなると、そこまで特別な対策はいらなくなるでしょうが、難易度が下がる分、高得点争いになるでしょう。
前期試験を受験予定の方は、過去問演習の際には数学だけは他学部との共通問題で対策してください。
試験形式もマークシート型になりますので、記述対策は不要です。素早く答えを出す練習が有効になります。
ただし、後期試験を受ける場合は、これまで行われてきた医学部独自の過去問題での記述対策が有効となります。
医学部受験は情報戦でもあります。受験する試験区分に応じて的確な対策を取りましょう!
・兵庫医科大学医学部では、
総合型選抜(一般枠)の募集定員を3名以内 → 約5名へ、学校推薦型選抜(一般公募制)の募集定員を13名 → 15名へと増やす一方で、一般選抜A方式の募集定員を約71名→約67名へと減らします。
また、総合型選抜および学校推薦型選抜の英語の試験時間を50分 → 60分へと延長します。問題分量が増えるのか、あるいは問題の難易度が上がるのか、のいずれかではないでしょうか。
そういえば、2024年度から実用英検の問題内容も少し変わり、問題文量や難易度も少し上がりそうな見込みですが、来年以降、実用英検の変更と関連付いた医学部入試の変更点が出てくるかもかもしれませんね。
・川崎医科大学医学部では、
総合型選抜における総合適性試験の理科の出題科目は、3科目から2科目選択制へと変わります。
これまで川崎医科大学の総合型選抜の理科では、物理も化学も生物も出題され、敷居が高く感じられていた受験生もいたかと思いますが、今回の変更により理科は2科目だけやっていればよいことになります。
川崎医科大学の総合型選抜は「地域枠」や「特定診療科枠」になりますが、一般選抜の受験も考えるならその対策にもなると思いますので、積極的に受験を考えていいかもしれません。
・福岡大学医学部では、
一般選抜1次試験の小論文の時間を60分 → 50分へと短縮します。
テーマや出題形式が大きく変わることはないでしょうが、小論文対策をする際には、例年より少し手早くまとめる必要がでてきそうです。
いかがでしょうか。前回と今回に渡って紹介してきました2024年度 医学部医学科入学者選抜に関する変更点は以上30大学になります。
ついでに、以下は高校2年生以下の医学部志望の方への御紹介になりますが、2025年度入学者選抜に関して、既に判明している変更点(6大学分)だけ簡単に挙げておきますね。
・旭川医科大学医学部では、
学校推薦型選抜の募集定員を10名 → 7名、総合型選抜の募集定員を37名 → 40名へと変更します。
また、国際医療人特別枠は廃止します。
・山梨大学医学部では、
学校推薦型選抜Ⅱにおける第1段階選抜合格者数を、募集人員の約1.5倍から1.2倍へと変更します。
・高知大学医学部では、
総合型選抜Ⅰにおいて、英語の資格・外部検定試験の成績を点数化します。
・杏林大学医学部では、
共通テスト利用入試において、国語(近代以降の文章)を追加し、国語(現代文)+数学+英語+理科2科目で1次試験を判定します。
・藤田医科大学では、
ふじた未来入試(総合型選抜)の「独総一理枠」でも、一浪生は出願不可とし、現役生だけが対象となります。
また、共通テスト利用入試では「国語(現代文)」の配点を100点 → 110点へ、さらに「情報Ⅰ」100点を追加し、810点満点で1次判定を行います。
・久留米大学医学部では、
学校推薦型選抜の学科試験「数学」において、出題範囲から「ベクトル」を除外する予定、となっています。
再来年はなんといっても新課程入試元年となり、受験生にとって負担増となる変更点が多くなりますので、今年度の入試は安全志向が最も高くなる入試になるとも予想出来ます。私立医学部の後期試験は、過去最多の12大学で実施されますので、医学部志望の受験生の方は最後の最後まで諦めずに戦い抜きましょう!
最後になりましたが、「2024年用の医学部入試カレンダー&変更点一覧」も完成しました。
おそらく、日本一早い完成だと思います。(予備校等で出版される医学部情報本はたいてい10月に刊行されます。)
何といっても、私立医学部の併願校については、入試日程が出揃わないと確定できません。
来年の医学部受験を検討されている方は、是非この「2024年用の医学部入試カレンダー&変更点一覧」をもとに、来年からの変更点や日程を把握したうえで受験校を確定して頂き、合格のための作戦を練って取り組んで頂きたいと思います。必要な方はお問い合わせの際にお申し付け下さいませ。 それでは。