最近買い物をする際に、「あれっ? 前まではもっと安かった気がするけどな?」と思うことが増えてきました。
世の中の「モノの値段」が段々と高くなってきています。
どうしてそんなことが起きているのでしょうか?
ニュースを聞いても、「難しい言葉が多くて、いまいちよくわからない」という人も多いかもしれません。
実は、世の中で起きている物価高騰は、中学校の社会科で学習した内容で、ある程度説明できます。どういうことなのか、具体的に見ていきましょう。
はじめに、知っておくべきキーワードを2つ挙げます。
その後、2つのキーワードを使って解説をしていきます。
キーワード①:金利
例えばあなたがAさんに、1年間の期限付きで100万円を貸したとします。
でも、タダで貸すわけにはいきません。1年後、Aさんがあなたにお金を返すときには、100万円に少し上乗せした金額をプラスして返すこととします。
1年後にAさんがあなたに101万円を返したとすると、あなたは1万円の利益を得たことになります。この1万円分を利息といいます。また、借りたお金に対する利息の割合を、金利といいます。
今回の場合、
(1万/100万)×100=1
以上のような計算により、金利は1%ということになります。
ここまでの話を聞いて、「自分は人にお金を貸すことも、借りることもないから、関係のない話だ」と思った人もいるかもしれません。
でも実は、多くの人はお金を貸しています。その相手は銀行です。
あなたが銀行にお金を預けているのならば、それは銀行にお金を貸していることになります。そのため、銀行から利息を受け取っているはずです。ぜひ、通帳を確認してみてください。
もっとも、現在の日本の主な銀行の金利はものすごく低いため、銀行から利息をもらっているという意識がなくても、無理もないかもしれません。
キーワード②:円安と円高
世界には様々な国や地域があり、使われている通貨も様々です。円(日本)、米ドル(アメリカ)、ユーロ(EU)、人民元(中国)、ポンド(イギリス)…頻繁に海外旅行に出かける方だと、珍しい通貨をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
今回は、日本円と米ドルに注目します。
例えば日本の会社が車を作って、アメリカで売ったとします。
アメリカでその車を買ったお客さんは当然、いつも使っている米ドルで支払いをおこなうことになります。お客さんから米ドルを受け取った日本の会社は、従業員の給料や税金を、日本円で払う必要がありますから、米ドルを日本円に換える必要があります。この取引は、「外国為替市場」でおこなわれます。
例えば日本の会社が【1ドル=150円】のときに1万ドルを円に換えると、150万円になります。この【1ドル=150円】という数字は、時々刻々と変動します。例えば、2024年の年初には、おおむね【1ドル=141円】でした。このときに1万ドルを円に換えたとすると、141万円になりました。9万円も差があります。
【1ドル=150円】のときは、【1ドル=141円】のときよりも、1ドルで交換できる円の金額が大きくなります。これはつまり、ドルに対して円の価値が下がったということになります。これを「円安」といいます。(ドルの価値が上がっていると考えることもできますので、「ドル高」ともいいます。)
逆に、【1ドル=150円】の状態から【1ドル=141円】になると、1ドルで交換できる円の金額が小さくなります。これを、「円高」といいます。(ドルの価値が下がっていると考えることもできますので、「ドル安」ともいいます。)
これら2つのキーワードをもとに、世界で何が起きているのかを読み解いていきましょう。
まず、下の2つの数字を見てください。
・約1%
・約4%
これは、2024年04月時点での、日本とアメリカの金利です。
(正確には日本とアメリカの10年国債利回りですが、ここでは難しい話は省略します。)
この2つの数字の“差”が重要です。
日本で100万を預けると1%増えて101万になる一方、アメリカで100万預けると4%増えて104万になります。
このような状況では、できるだけお金を増やすために、自分が持っているお金を日本で預けずに、アメリカで預ける人が増えてきます。
ただし、アメリカでお金を預ける際には円をドルに換える必要があります。
たくさんの人が「円はいらない、ドルが欲しい」となることで、円の価値が下がり、ドルの価値が上がります。つまり、円安ドル高になります。
これがいわゆる、「日米金利差の影響で円安が進む」ということです。
円安が進むと、日本が海外からモノを輸入する際の値段が高くなります。
日本は、石油や天然ガスといったエネルギー資源を、ほとんど輸入に頼っています。
円安になるということは、円の価値が下がるということですので、これまで払っていた金額以上の円を支払う必要があります。
エネルギーの価格が上昇すると、ガソリンの値段や発電コストも上がります。
その結果、製品やサービスの値段が上がってしまいます。
以上が、「モノの値段が高くなる」ことの説明です。
いかがでしたでしょうか?
学校の勉強は、意外なところで日常生活に結びついています。
皆さんも、一緒に社会を勉強してみませんか?