評論の読解力をつける方法 | プロ家庭教師のディック学園プロ家庭教師のディック学園

○ はじめに

 DIC学園熊本校の小山です。
 私は大学受験を目指す高校生の方の国語を多く指導させていただきました。
 国語を得意科目とするために、超えなければならないハードルの一つに評論の読解があります。
昨今の教育改革において、大学受験(特に私大で顕著)で現代文として評論の比重が増しています。
入学後の勉強についてこられるかの、試金石として評論読解力をみているようです。
このような状況下において、読解力をつける、さらに高めるために私は評論の構造理解(主張+理由+具体例)を理解し、的確に主張を見抜くことが不可欠であると考えております。
しかし、「言うは易く 行うは難し」との言葉もあるように実際には困難な点があります。
そこで、①主張のみの文章・②主張+理由の文章・③主張+理由+具体例の文章を順に見ていきながら、皆さんに評論の構造を理解して、読解力を挙げるとはどういうことかを実感して頂きたいと思います。

目次
◯はじめに
◯実例から考える読解力アップ
◯多くの文章を費やして書かれていること=大切なこと? 二郎系ラーメンをイメージして
◯読解力アップのために 主張を的確に見抜くこと
◯最後に

 

○ 実例から考える読解力アップ 2019年10月の消費税率8%→10%に改定を例に 

① 主張のみの文章

「皆さん。今、日本は消費税の税率を今の8%から10%にするべきです。皆さんのご理解をお願いします」と言われて、皆さんは納得できますか。
私は絶対に納得できません。
なぜ、「10%に上げるんだ?きちんと理由を言え」となります。

② 主張+理由の文章

超高齢社会に突入している日本の社会保障を支えるために、消費税をその財源に当てたいと考えております。残念ながら現行の8%では今後増大する社会保障を支えきれません。そこで、消費税の税率を8%から10%にしたいと思います。皆さんのご理解をお願いします」
この訴え方はどうでしょうか。
まず先の例よりは丁寧に頼んでいる感じがすると思います。
なぜでしょうか。
それは、消費税の税率を上げる理由が述べられているからです。①に比べると説得力が増していますね。

③ 主張+理由+具体例の文章

「超高齢社会に突入している日本の社会保障を支えるために、消費税をその財源に当てたいと考えております。残念ながら現行の8%では社会保障を支えきれません。
ご存じの通り、わが国の財政状況は大変に厳しく、(A) 2017年度の数字では、社会保障の総給付費120.4兆円のうち、実に46.3兆円が公費。その約3分の1を国債で補っている状況です。今後、勤労世代の減少→保険料収入の減少が見込まれる中で、これでは制度の維持ができなくなるおそれがあります。
また、(B) 高い福祉水準を維持している北欧諸国では、消費税は20%以上の国もあり、10%は決して突出した数字ではありません。
10%アップへの皆さんのご理解をよろしくお願いします。」
こちらはどうでしょうか。

さらに説得力が増していますね。それは、(A) 具体的な数字を出し、(B) 他国との比較を行っているためです。このように説得することで、「消費税を10%に上げるべきである」との主張を受け入れてもらいやすくしているわけです。これら(A)と(B)の要素のことをまとめて具体例と呼びましょう。

この主張+理由+具体例が評論の骨格をなすものですが、これらとうまく付き合い、それぞれの働きを理解することが読解力アップのためには不可欠となります。

○ 多くの文章を費やして書かれていること=大切なこと? 二郎系ラーメンをイメージして

①・②・③と文章を比較すると、文章量が増えていることが分かります。
① が主張だけの文章。
② が主張に理由が追加された文章。
③ が主張+理由+具体例と要素マシマシとなっているためですが、ここに落とし穴があります。それは、「たくさん書かれていること=筆者の最も言いたいこと=主張」という誤解です。

思い出してください。③の文章量が多いのは、具体例が追加されたからでした。
決して新たな主張が追加されたわけではないのです。

この実例の候補者の主張は「消費税は10%に上げるべきである」の一つであり、「財源が足りない」や「諸外国は日本よりも税率が高い」はあくまで説得材料にすぎません。
こんなにくどく述べずにもっとあっさりでも良いではないかと、皆さんは考えるかもしれません。
しかし、この「消費税は10%に上げるべきである」のような強い反発が予想される主張を受け入れてもらうには、まず、耳を傾けてもらい、かつ最終的に「なるほどそれなら仕方がない」と納得してもらえるような説得力を持たせたいと筆者は考えます。

そこで、読み手や聞き手に興味・関心を持ってもらうために具体例マシマシにして文章を華やかにするわけです。
文章の読み手や聞き手も、その具体例が魅力的であれば文章自体に関心を抱いてくれますが、あまりに具体例マシマシの要素が魅力的ですと、そちらが、印象に強く残り、メインと勘違いしてしまうことになります。

まさに一種のパラドックスですね。
あっさりでは客に訴えるインパクトに欠けるので、具材マシマシにしたところ、見た目は派手になったが、本当に味わってほしい所(私はスープだと思いますが、麺だという方の主張も否定はしません)がズレてしまった。
こんなところでしょうか。
では、どうすべきでしょうか?

○ 読解力アップのために→主張を的確に見抜くこと

 では、文章量マシマシ状態から、的確に主張を見抜くにはどうすべきでしょうか。次の二つを念頭に置いてほしいと思います。

1 文末表現に気をつける

 大切なことや読み手や聞き手に以下に述べることが自分の主張であることを分かってもらうために書き手は、文末表現を「〜すべきです」や「〜が必要です」、「〜が重要と考えます」などとします。
英語と比較するとハッキリとしますが、日本語は文末に「〜する」「〜しない」「〜できる」「〜かもしれない」「〜すべきである」という、その文の内容が最終的に肯定か否定か、可能か不可能か、見込みか助言かという決定する要素が示されます。
ここに気をつけるのがどの文が主張になっているかを見抜く最大のポイントです。

2 形を変えた繰り返しに気をつける

I 具体例の後に気をつける

 先ほどの候補者の訴えをご覧ください。
具体例の後にもう一度、今度はお願いする口調を加味して10%アップへの理解を訴えています。
こうすることで、読み手や聞き手に自分の主張を強く印象づけようとしているわけです。

文章でも同じことが行われます。
主張+理由 &具体例+主張のサンドイッチ構造にすることで、読み手や聞き手に自分の主張を分かってもらうわけですね。これは、入試レベルの文章でもよく用いられる手法です。

II 要約の働きのある語の後に気をつける

 これは具体的に言いますと「つまり」や「すなわち」などの要約の働きのある接続詞や、「言い換えると」などの語の後の文章に気をつけていただきたいのです。
 主張+理由 &具体例+主張のサンドイッチ構造に即して説明すると、理由 &具体例を述べた後の繰り返しとなる主張では、先ほどの「つまり」や「すなわち」あるいは「言い換えると」などを用いて筆者は皆さんに自己の主張を印象付けようとしてくるわけです。


○ 最後に 

「初めに」でも述べましたが、この評論読解力を試す傾向は、大学入試レベル(課題文読解型小論文に挑戦するときにも)にとどまらず、高校入試や中学入試レベルにまで今後ますます拡大していくことが予想されます。

 評論が苦手だとおっしゃる方に共通して見受けられる傾向は、主張・理由・具体例の3つを等しく重要なものとして扱ってしまうことで、本当に大切な主張を捉えられなくなっていることです。
 特に、主張の分かりやすさに奉仕する具体例は、文中で効果的に使用されるとメインであるはずの主張より強く印象に残ってしまうために混乱に拍車をかけることになります。

  共通テストなど入試レベルの評論の文章量(形式段落が20以上もある文章)に心が折られそうになる皆さんに、改めて訴えたいのは、文章の大半が具体例であり、筆者の主張はそのうちの2~3つの段落で展開されているにすぎないことです。
 ですから、その2~3つの段落に展開されている筆者の主張の把握に力を注ぐべきであり、大半の具体例は確かに主張を補強する働きを有していることが分かれば充分です。
 こう考えると、気持ちが楽になり、読むスピードも増し、実際に文意も把握できるようになります。
この読解力向上スキルは、大学入試に限らず、入学後の大学の授業や、社会人になった後でも自分のレベルアップのために何かに挑戦するとき(例 資格試験受験)にも力を発揮するはずです。
 本当に一生モノの力として、ぜひ読解力アップに取り組んでいただきたいと思います。
 このブログが、皆さんのお力に少しでもなれたとしましたら幸いです。
 最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

※③の数字の引用は財務省のホームページ「消費税率引上げについて」から、各国の消費税率については、国税庁のホームページ「税の国際比較」より私の責任でまとめました。


小山 英光

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指導歴 18年
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