共通テスト地理は、これまでのセンター試験地理と同じ試験時間60分で100点満点です。しかし、内容はより「東大地理」に寄せてきた感があります。つまり、地理に関わる複数の事象を、地理的な見方、考え方を働かせて、多面的、多角的に考察したり、知識やデータの検証を通して「系統地理」と「地誌」の両分野の関連問題を解く能力が試されます。記述ではなくマーク方式ではありますが、単なる知識だけでは解けず、アウトプット力が必要です。
問題には様々なデータ、資料が含まれており、資料問題の攻略が、高得点を取るための最大のポイントと言えます。資料の種類は、具体的には、地図、地形図、分布図、模式図、統計表、グラフ、経年変化図、調べ学習のまとめ資料、写真などです。
75点前後に厳しい壁がありますが、高得点をゲットする為のポイントがありますのでご説明いたします。
①地理は「日常事」であるとの意識を持つこと
身の回りのでき事はもちろん、災害、事件、紛争など、日本中また世界中で「地理に関連しない日」は、一日もありません。地名を目や耳にしたら即地図帳で確認しましょう。いつでもどこでも見れるよう地図帳は、学校用、居間用、携帯用と3冊常備しましょう。小学生の間に、家の方が一緒になって地図帳を開き、地図帳を見るのが習慣化されると理想的です。そこから、関連する人物、歴史、ニュースなどへと関心が広がっていきます。地理の半分は机以外での学習です。
②地理の基本知識を大切にすること
共通テストといえども、地理の基本知識の上に成り立っています。高校2年生までに、まずは「地理の研究 帝国書院」「地理の整理 三省堂」「地理Bの点数が面白いほどとれる本 中経出版」「山岡の地理B教室Ⅰ・Ⅱ 東進ハイスクール」を読み込みましょう。定期テスト対策では、教科書を予習、復習、テスト前と図や表、写真なども含め最低3回は読み込みましょう。
③過去問の利用
センター試験の過去問も知識の確認や定着として利用できますので、模試も含めて、実戦力養成の為にも、追試も含めて20年分以上解きましょう。高度経済成長と公害、産業の発達と地球温暖化、気候と土壌や植生との関係、石油危機とEEZと漁業形態の変化など、歴史的背景も含めた因果関係など論理的な思考の点で、東大の地理問題が参考となります。記述練習する必要はありませんが、取り組まれることをお薦めします。
④データの利用について
生産高や貿易統計などのデータは年々変化していますので、必ず最新版を使用して学習してください。特に浪人生は注意してください。
⑤補助教材について
地理に関しては学参は少ないですが、日々関連書籍は出版されています。今回は、気軽に読めて興味深い一般書籍の中から参考になるものをいくつかご紹介いたします。
(a)「世界の国力ランキング」旺文社
国力を示す様々な指標を用いて世界の国々の今の姿を浮き彫りにしています。
(b)「地図でスッと頭に入るヨーロッパ47ヵ国」旺文社
「地図でスッと頭に入るアメリカ50州」を皮切りに東南アジアなども含め続々と刊行中。中学生の時に見ておきたい。
(c)「地球の歩き方 ジョジョの奇妙な冒険」Gakken
勉強に疲れた時の休憩用として楽しい1冊。食、文化、歴史、路地裏など教科書では知ることのできない情報も満載。
但し、「ジョジョ初心者」は、どれがフィクションでどれがノンフィクションなのかも含め、その魅力の沼にはまり込んでしまうので要注意。
世界中、ありえないほど様々な国や地域で、ありえないほど様々な人々が、さまざまな悠久の歴史の1ページ、そして、様々な文化背景などの中で、各々の命を燃やして、それぞれの今を生きている。それを知ることのできる地理って楽しい!素晴らしい!!
今日も明日からも、我々はこのろくでもない、そして素晴らしい世界を地理と共に生きていく。