「『聖徳太子』という名前はなくなって、『厩戸王』(うまやどのおう)とかいう、よく分からない名前に変わるらしい。」
「江戸時代の『鎖国』も、実際には他国との交流があったから削除するらしいよ。」
2017年2月に文部科学省が示した、歴史の教科書表記を巡るいくつかの方針が、上記のように世間で話題になったことを覚えていますでしょうか?
小学校では2020年度、中学校では2021年度に改訂する学習指導要領に関する方針でしたので、まさしく今の小学生、中学生が使用する教科書についての話題でした。
「今の教科書には、『聖徳太子』も『鎖国』もないの?」
結論から申し上げると、「あります」。
実は、2017年2月に方針を示した後、世間や教育現場で反対の声が相次いだこともあり、2017年3月、つまり翌月にはいくつかの方針を撤回したのです。
そのため、現在の教科書には『聖徳太子』も『鎖国』も載っています。
なお、聖徳太子には後ろに( )がつき、『厩戸皇子(うまやどのおうじ)』が追記されています。
そうです、当初の予定だった『厩戸王(うまやどのおう)』でなく、『厩戸皇子(うまやどのおうじ)』に変わっているのです。
「昔習った歴史と、同じことを教えているの?」
全体的に共通していますが、「昔、学校で習ったことと違う」点も複数あります。
例えば、「鎌倉幕府の始まり」は1192年で、「いい国作ろう、鎌倉幕府」と覚えた方も多いはずです。
しかし現在の教科書表記では、鎌倉時代が始まった年は明示されていません。
「1183年説」「1185年説」「1192年説」など、複数の説があることが記載されています。
また、全体的に内容が「詳しくなっている」と感じ、家庭教師である私も「これは習ったことがない」と思う機会があります。
そこで、生徒さんと同じ教科書を購入し、しっかりと読み込むようにしています。
家庭教師は「学生時代に学んだことを子供達に教える」人でなく、「自らも学び続け、子供達と共に成長していく」人なのです。